チボー

前回から約2ヶ月・・・。ブレンパワードから観る人間の自己形成が云々という話がしたかったと思うのだが、指が動かなかったのか、それとも自分の悩みはこの程度のものだったのか、自分のダメさ加減に嫌悪するところである。

結局のところ、人と人が違うってことは定理なのだから、うまい落とし所を見つけて擦り寄っていかなければならないのだろう。ブレンについてはまた別の機会に考察してみたい。

 

さて、読書の秋なんだよと言われて読んだのがつげ義春だから少し心情的に参っている。「別離」を読んで胃が痛くなるのはいつものことだ。

漫画家として食えなくなった主人公が嫁を働きにだし、そこで嫁が浮気をし妊娠したことに対し絶望した主人公が睡眠薬で自殺を図る話だ。

命だけは救われるものの物語としては救われていない。バッドエンドだ。私自身真に受けやすいので落ち込んでしまったのだが、最後の解説を読んでハッとした。

作中主人公は「夢もチボーもない」というフレーズを使うのだが、「チボー」とは希望のことだ。「夢も希望もない」となるとそれこそなにも残っていない気にさせるが、作

 

義男の青春・別離(新潮文庫)

義男の青春・別離(新潮文庫)

 

 

者独特の「チボー」と言い換えることによってマンガであるゆえのコミカルさとか、今の状況に対する脱却を目指す意味があるよねというものだ。

そこがつげさん大人だよなと思わせるようで、なるほどいつか時が忘れさせてくれることもあるのかもしれない。そう思わせた読書でした。